超硬事業部 合金部 製造課 製造1係 焼結班
1999年入社
県立高校 営農科卒業
就職活動をしていた当時は、まだインターネットでの求人検索が一般的ではない時代でしたので、求人票が企業のことを知る重要な手段の一つとなっていました。そんな中、他の企業に比べて求人票に記載されていた福利厚生や休暇制度、給与の条件が希望に見合ったので応募したことを覚えています。しかし、自分自身、体力には自信がありましたが、工業系の知識が無く、入社したものの本当にやっていけるのか、という不安でいっぱいでした。でも、全く知識のない私にも、先輩方が親切に惜しみなく指導してくださったおかげで早く業務に慣れることができたので、そんな不安はすぐに解消しました。
成形班で加工をする仕事を4~5年経験し、その後は希望を出して現在の焼結班に異動となりました。焼結班の作業は、主に熱処理の作業になります。まずは、次の工程を担う成形班が作業しやすいよう、加工性とハンドリング性を向上させるために低温で予備焼結を行い、製品をチョーク程度の硬さまで硬くします。そして、成形班で加工された製品を、ダイヤモンドの次に硬いとされる硬さにまで焼き固める本焼結を行いますが、さらにミクロな巣を消滅させて合金強度を上昇させるHIP作業も行います。焼結の作業は単純に焼くだけではなく、製品が最良の状態で焼き上がる為に、適切な温度管理の他、製品ごとのさまざまな条件に合った焼き方にも注力していく必要があります。また、単に焼く(熱処理する)だけでは綺麗な形状にできる訳ではなく、曲がったり反ったりすることもありますので、いかに規格内に収められるかどうかが非常に重要になってきます。この部分が焼結班の仕事の最も難しいところでもあり、工夫してうまくいった時にやりがいを感じるポイントでもあります。
あるとき、焼結後に反った製品を矯正する作業において、絶対に必要とされていた材料を使用せずに曲がり直しを成功させたことがありました。必要であった材料を使用しないことでコストダウンに繋がったことはもちろん大きかったですが、その材料を使用した場合に必要であった後処理が不要となり、時間短縮になりました。取り出しやすさや詰めやすさの面でも効率化を図れたことで会社からは評価をいただきました。実際には温度を下げただけですが、業務経験に基づくひらめきから改善できた瞬間でした。製品を作るには多くの複雑なプロセスがあります。私の担当においては、製品の物性を維持しながら複雑な形状を焼結できるようにするために、日々焼結技術の向上に取り組んでいます。それには私たちの自部署の技術向上はもちろん、成形班やプレス班といった他の班とも協力の上で議論を重ね、改善していければ部署間の連携が強化され、今までは気付かなかったようなアイデアを生み出していけると確信しています。
今は、子供の世話の他、地元の消防団や清掃活動に参加して活動をしていますので、オフタイムも結構多忙な日々を送っています。でも、家族や地域の方に心から感謝されていると実感することも多いです。もちろん、肉体の癒しも必要ですが、私自身はこの心の癒しが得られれば、来週また頑張ろうと思えます。